
ほしとたいようの診察室
第10章 陽はまた昇る
そしておそらく、ご飯をまもともに食べていない。
そう直感して、部屋に入るや否や台所に足を運ぶと、腕を捲った。
キッチンの造りはうちと同じだし、何度も料理したキッチンである。勝手知ったる場所なのでさっさと準備を始めようとすると、陽太先生が言った。
「まって、のんちゃん」
「もう待てないです。何日、ちゃんと食べてないですか?」
冷蔵庫の扉を開けるわたしの右腕を、陽太先生がいつもより弱い力で掴んだ。
「血……、怪我してるから。手当させて」
陽太先生のその目は、患者としてわたしを見ていた。右手の擦り傷を労るように見つめていた。
全然気づいていなかったが、右手の甲に血が滲んでいた。

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