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戦場のミハイル

第2章 市街戦での孤立、息をひそめて生還せよ!


「そうは言っても限界だろ?身体が固まったまま戦闘に移行しても反応出来なくなるよ!」


ミハイルは適当な理由をつけてアナスタシアに暖を取らせようとした


彼女の高いプライドがそれを拒絶させる


気の強いアナスタシアは自分から折れることはないだろう


ミハイルはこのままでは帰還どころか、凍傷で戦線復帰すら出来なくなってしまうのでは、と不安になった


ミハイルとアナスタシアがペアを組むようになって半年


何かとリーダーシップを取ろうとするアナスタシアの好きなようにさせていたが今回ばかりはそうも言っていられない


それに


冷え切った身体は自然と尿意を促すはずだ


いろんな意味でアナスタシアはプライドが高すぎた


兵士としても

女性としても



過酷な沈黙が始まってすぐにミハイルは彼女のために先に排尿をしていた


そのほうが彼女もしやすいだろうと思って



砲撃手であるミハイルは階段状コックピットの上側に鎮座しており、彼女の頭の高さで簡易トイレを使用した


下側のアナスタシアが簡易トイレを使用してもミハイルからは高さの距離があるはずだ



だがあれから2時間経っても彼女は何もしなかった


「……ナスチャ、悪いけどもう一度トイレを使うよ、キミも我慢するんじゃないよ?」


「……余計なお世話よ……、私はアンタとは違うのよ!」


「女性の恥じらいには敬意を払うけど、今は生還することが最優先だ、キミの身体が心配なんだよ!何ならボクが外に出ようか?」


「何言ってんのよ、周りは敵だらけなのよ!わざわざ的になるようなものじゃない!出るなんて自殺行為じゃない!

これは私の車輌よ、私が出るなと言ってる以上出ないで!」


「じゃあ我慢しないでくれよ」


「……わかってるわ、それくらい……」


アナスタシアは歯を食いしばるしか無かった


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