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戦場のミハイル

第2章 市街戦での孤立、息をひそめて生還せよ!


15分毎の定点観測


機体をコントロールしている操縦士のアナスタシアは限られたセンサーを確認していく


「メインカメラ、オッケー異常なし!
第一サブカメラ、異常なし!
第二サブカメラもオッケー

ミーシャ、そっちは?

ミーシャ?」


アナスタシアが上段のミハイルを見上げる


彼は首をだらしなく垂れ下げていた


「……アンタ、寝ちゃったの?」


アナスタシアはヒソヒソ声で話しかけてみるが、相棒からの応答は無かった


「……ミーシャ……、ミーシャ?」


アナスタシアはミハイルが深い眠りについているのを確認して、ようやく行動をうつした


ガサゴソ


衣擦れの音はゆっくりと、静かに行われていく


シートを少しずらして腰を浮かせると、シートの座面がズレていく


簡易トイレの吸引器のノズルがゆっくりと持ち上がっていく


彼女は姿勢を正し、自分から位置を調整する


すでに下着は膝まで下げられており、ノズルが肌に密着する


やがて



「フーーーー」



何の音もしないが、彼女は緊張のピークの山を越えて深い深呼吸をした



それは深い深い呼吸だった



アナスタシアは凄まじい疲労感に襲われ、限界を越えた緊張からようやく解き放たれた


あまりの開放感に白目を剥いてしまう


何度も何度も肩を上下させ、鼓動を落ち着かせていく


腰の下着があたる位置はぐっしょりと汗ばんでおり、彼女はすぐに下着を上げる気にならなかった


もう少し、濡れた肌を空気に触れさせておきたかったのだ


背中の汗、脇の汗、胸の谷間の汗が急速に冷えていく


アナスタシアは脱力して、集中力も途切れてしまったのだった




ミハイルはもう少し寝たフリをしておこうか、とアナスタシアの自尊心を傷つけぬよう努めて、目を開けなかった


そして



そのこともアナスタシアは気づいていた…



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