テキストサイズ

戦場のミハイル

第2章 市街戦での孤立、息をひそめて生還せよ!


「……ミーシャ、少し話しをしましょう…

 わたしたちは余計な会話をしてこなかった

 わたしはアナタに興味が無かったし、アナタもわたしに興味が無いでしょ?

 でも……わたしは少しアナタを勘違いしていたかも…」


アナスタシアは抱き締められながら寝物語のように語りかけてきた



「ナスチャ? キミらしくないな…

 えらく弱気じゃないか

 いつもの強気はどうした?

 強気のナスチャはボクはそれなりに気楽なんだけどな」


ミハイルは腕の中のアナスタシアがいつもより小さく見えた


「……アンタはクルーの中ではアイドルのような存在だったけど、


 わたしはアンタのグルーピーな女たちと一緒にされたくなかっただけよ……」


アナスタシアはため息を吐きながら答える


それは少し前の愚かな自分の姿でもある


「……そうだね、ナスチャはナスチャらしくすればいいと思うよ

……それに、ナスチャのおかげでボクも静かに仕事が進められたしね…」


ミハイルは優しく答えてくれた


でも〈あんなウルサイ女たちよりわたしのほうが良い〉とは言ってくれないのね


そこまで考えて、アナスタシアはハッ!としてしまう


また…! また愚かな事を考えてるッッ!?


あぁ、ヤダヤダ…


わたしはいつからこんなに自己中心的な女になったんだろう


それに…


さっきまで嫌っていた男に、まるで好かれたがってるみたいじゃないッッ!?


改めて意識したナスチャは顔を赤らめてしまう


「……? どうした、ナスチャ? 顔が赤い

 風邪ひいちゃった?

 ……マズイな、風邪どころか肺炎になってしまうかも……、これは早急に本隊に戻らないと…」



「ち、違う! 大丈夫! 風邪じゃないから!

 こんな風に男性と近しい接触を、その…した事が無いから…、わたしも照れたりぐらいするわよ!

だから、大丈夫だから!」


「……そう? 本当に? 体調が悪くなったらすぐに言いなよ?

 ……それに……、ごめんね強引にこんな事しちゃって……、

夜が明けたら冷気も少しはマシになるだろうから……、

そうしたら、離れるから……それまで我慢して」


「……いいよ、このままで……

 暖かいし、気持ちも落ち着いてきたし

 ありがとう、ミーシャ」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ