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戦場のミハイル

第2章 市街戦での孤立、息をひそめて生還せよ!

「ところでミーシャ、わたし前から聞きたかったのだけど…

あなた〈カミエーター〉ってホントなの?」


本隊で女性たちを周りに取り囲まれていた光景を思い出す


ああ、なんてわたしミーハーな質問しちゃったのだろう…


この世界、この時代
男性の出生率は極端に低下しており、アナスタシアは出身地の町でも軍属に入ってからも歳の近い異性と触れ合うことがほとんど無かった


だから、こんなときどのような話題をしたら良いのかわからなかった


「そうだよ、もう何年も前……先代の教皇が何人かの男子を選んで〈カミエーター〉を作り出したんだ

ボクもそのひとりだよ」


「教皇と会ったことあるの? へぇ、本当に存在するんだ…

 ふーん、 で、どうなの?

ラッキーて感じ? 色んな女を抱けるわけでしょ?」


「……ナスチャって意外と俗物な言い方するね

 もちろん民族存続のためにボクらがいるわけなんだけど……、

正直言って、神域責務の感覚だよ」


「神父さまみたいな感じってこと?」


「どうだろ? ボク個人ってのが無くなって皆に奉仕してるような感じだよ


辺境の村で一緒に過ごしてきた幼なじみとも一緒に居られなくなってしまったし……


そんなに楽しんでやってるわけじゃないもんだよ……」


「手当り次第に手を出せるってわけでも無さそうね」


「もちろん!ボクから行動するわけじゃない、新しい生命を求めている人を手助けするだけだよ」


「……もし、私が求めたら?

 ミーシャは私を抱けるの?」


「? ナスチャはママンになりたいの?
 そんなこと言いそうにないと思ってたけど

……そうだよ、生命を宿すことの手伝いがボクの宿命だから」


「……アンタがヤリたい!って時はどうするのさ?」


「……〈カミエーター〉は犯罪者じゃない、無理やり襲ったり、自己快楽のためにその力を使ったりはしないよ」


「アンタがソノ気になったら、私が手伝ってあげても……いいけどね!

パートナーだし!それぐらいは前向きに協力するから!」


「ふふ……、ありがと……慰めてくれてるんだろ? 大丈夫、ボクはこの宿命を受け入れているから」


アナスタシアはまどろっこしいな、と思った


男と女の駆け引きも、至るまでのサクセスも、経験不足のせいでもあるが、まわり道すぎる


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