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戦場のミハイル

第2章 市街戦での孤立、息をひそめて生還せよ!

敵と交戦して半日後


アナスタシアとミハイルは何とか本隊と合流することが出来た


もともと数日間の市街探索行動だったので簡単な報告をする



本隊の大型陸上母艦


アナスタシアとミハイルはそこの司令室で口頭報告を済ませる


報告を受けるのは副艦長の女性ヘレナ・デルビーナ


背の高いすらりとした細身の容姿


だが周りからは無表情なのが気に入られず心を開く者は少ない



「ご苦労様でした、無事で何よりです
 ナスチャは半休を取り、その後今回の報告書を提出
 ミハイルは私とともに艦長室へ」


「了解!」

「了解しました!」


アナスタシアは反転して司令室を出ようとする前にミハイルへ振り返る


「……じゃあ、また後でね」



アナスタシアは返事を聞かず司令室の扉を閉めた


ヘレナはいくつかの書類を脇に抱え、艦長室へ向かう準備をしながらミハイルに声をかけた


「ナスチャ……あの子ずいぶんトゲが無くなっちゃって……、仲良くなれたようね」


ヘレナはそのまま部屋を出ようとする


「……別に何もありませんよ」


「抱いたの?」


「してませんよ、カミエーターの目的は生命の繁栄です、ご存知でしょう」


「それは建前、あなたも人間よ、快楽も感情も持ち合わせているはず」


「……快楽に利用しているのは貴女じゃないですか…!」


ミハイルが声を荒らげようとするとヘレナは突然ミハイルの方へ向き直り、強引に彼の身体を抱き寄せて奪うように唇を重ねた


「坊や、カミエーターは神からの共有者よ、あなたに人格も人権も無い、生殖するためのただの生きる道具なだけよ」


ヘレナは冷たい目つきでミハイルを睨みつけると、そのまま司令室を退室した


ミハイルも仕方なく後をついていく


最上階の艦長室


部屋に入ると巨大な球体の中に女性が浮かんでいる



女性は軍隊の制服ではなく薄いベールのような長い布をまとっていた


目は閉じられ、瞑想しているようだった



「艦長!ガラ艦長!たった今ミハイルが戻りました」



艦長と呼ばれた女性はピクリとも動かず巨大な球体の中に浮かんだままだった…


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