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戦場のミハイル

第2章 市街戦での孤立、息をひそめて生還せよ!

ミハイルはガラ艦長に一礼するが、瞑想状態の彼女には見えていないだろう

なんならミハイルたちが入室したことにも気付いていない


だがミハイルにはわかっている

艦長が今、何をしているのか


空間操作

ガラ艦長は〈プラストラー〉


空間を捻じ曲げることが出来る特殊能力だ


ミハイルの〈カミエーター〉同様に、生命のデータを書き換えられた職位だ


大型陸上母艦は外観よりもさらに内部は広い


それは〈プラストラー〉により内部の空間を巨大に広げられている


それはガラ艦長とヘレナ副艦長の二人でコントロールされていた


ガラ艦長は最低限の生命力を残し全神経を母艦の内部空間維持にまわしているのだ


内部は生活空間、格納庫、兵器など母艦レベルではなく巨大な基地レベルの空間を作り上げていた



ミハイルは半透明な球体の中に浮かぶガラ艦長を眺めていた


細身のヘレナ副艦長とは対象的に少しふくよかな中年女性


ひらひらと漂う布をまとっているのはまるで天女のようだ


どこにでもいるような主婦のようにも見え、母艦みなの母親のような存在


しかし、そのような穏やかな外見とは異なり強力な能力でこの母艦をコントロールしている



ミハイルは何故か恐ろしい存在に思えた


〈プラストラー〉は比較的数が多い能力者たちだ


だが大型陸上母艦に巨大な空間を維持できるほどの上位能力者は数が少ない


小型機の操縦士たちも何かしらの空間維持能力を持っているが、せいぜいコックピット周りを実寸より広げられている程度だ


アナスタシアは上下の縦型空間のコックピット程度を創り上げていたが、さらに先輩操縦士たちならば4〜5人が乗り込めるコックピット空間を得られるだろう


ミハイルがガラ艦長を眺めているうちにヘレナ副艦長はいつの間にか衣服を脱ぎ捨てると、彼に見せつけるように正面に立った


「……ここで?」


「そのほうが興奮するでしょう?
 もうすぐガラ艦長の勤務は終わり覚醒するわ
 早く終わらせないと全部見られてしまうわよ」


「……アナタは下品な方ですね……」


ミハイルはヘレナをにらみつけながら軍服のズボンを下ろした





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