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戦場のミハイル

第2章 市街戦での孤立、息をひそめて生還せよ!

アナスタシアは補給部隊のトラックに乗り込んで窓の外を見ていた


このあたりは帝国の力が色濃い地域だ


陸上母艦への補給を終わらせた後方部隊は回収品や修理品、また疾病兵の帰還などを積み本国へ向かっていた


結局あれからすぐに身支度を整えて、補給部隊に乗り込むことになり同僚たちへ別れの挨拶すら出来なかった


もちろんパートナーだったミハイルにも


彼はパートナーが解消されたことをいつ聴いたのだろう?


最後にひとめ逢いたかったな……


アナスタシアは前線から外される


戦地特有の緊張感は無くなり、心にスッポリ穴が空いたような気持ちになる


外は田園風景から山岳地帯に変わり、やがて長いトンネルの中へ景色が変わった


アナスタシアはカバンからタブレット端末を取り出す


「……あッッ!!」


思わず声が出る


数ヶ月ぶりに家族からのメールが届いていた!


送信先のIDは祖母だった




※※※※※※※※※※※※※※※※※※


元気にしていますか、ナスチェンカ!

ケガも病気もしていなければいいのだけれど…

私たち家族は無事です

ただ村全体に避難指示が出ました

村の全員でイルクーツクにまで南下しています


帝国の兵隊さんたちも同行しての避難だったのでとても安全な旅でした」


アナスタシアは祖母からのメールを懐かしく、そして連絡が途絶えていた理由もわかった



スクロールを続けながら、ふいにミハイルのことを思い出した

数ヶ月前にミハイルが部隊に来たときグルーピーの女性陣が色めき立っていたっけ


自分はその輪には入らなかったが、遠くのテーブルに居ても声が聞こえてきていた


たしか前の赴任先はどこだの何だの話しをしていた時にバイカル湖の基地がどうのこうの言ってたような記憶がする


イルクーツクも湖の近くの街じゃなかったか



街へ逃げ込んだ家族たち

街からやってきたミハイル


皮肉なもんだなぁ、とアナスタシアは思っていた…


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