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戦場のミハイル

第1章 辺境の村、その集落に未来はない

ベロニカの家に着く頃にはあたりは夜になっていた

「おかえりニカ、ミーシャ」

ベロニカの母親がいつものように迎える

小さな頃から家族同様に付き合いがあるので当たり前のようにミハイルの夕食も用意されていた


「家には連絡してあるから、今夜は泊まっていきな」


「ありがとう、おばさん」


「おかえりミーシャ」

「カーチャ、久しぶりだね元気そうだね」

「ミーシャこそ、また背が伸びたわね、背格好が兄さんに似てきたわ」

「ミーシャはまだまだチビよ!」

「うるさいよニカ」


金色の長髪を後ろに束ねたベロニカの姉、エカチェリーナはゆったりとしたワンピースを着てミハイルには大人の女性に見えた

ワンピースの胸元が大きく突き出している

赤ちゃんが出来てからまた大きくなった、と夕食をとりながら談笑しているとベロニカがうらやましそうに文句を言った

「アンタも子供を産めば嫌でも大きくなるわよ、それまではペチャパイを楽しみなさい」

「ねえ、ミーシャはやっぱり大きいほうがいいの?」

「ええっ?」

アハハハと母親が大笑いした

「そりゃミーシャも男だよ、大きいほうがいいさ」

豊満で巨漢な母親は胸も大きかった

「ボクはそんなこと考えたことも無かった!
ニカは昔から小さかったじゃないか」

「昔からニカは牛乳を嫌がるからよ、さぁ飲みな」


ベロニカは姉のエカチェリーナから差し出されたコップを受け取った


「……コレ、カーチャのミルクじゃないでしょうね」


「アンタ、馬鹿じゃないのっ!」

「ち、違う!そういう意味で言ったんじゃなくて、カーチャの分のコップじゃないのかって言ったのよ!」


みんなで大笑いしていると隣の部屋のベビーベッドから赤ん坊の泣き声が聞こえてきた


「ほら、ミルクの話しをしてるから欲しがったじゃない」

エカチェリーナは席を立って部屋を出た


ミハイルは自分のコップの中の牛乳を眺めながら、隣で赤ちゃんに母乳を与えているであろう初恋の人の姿を想像していた


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