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戦場のミハイル

第1章 辺境の村、その集落に未来はない

夕飯が終わり四人で談笑していると家の外にクルマの音がした

「こんな時間に誰だろう?」

徴兵された男たちが帰ってくる話しは聞いていない


母親とベロニカが玄関へ向かう

部屋に初恋の相手と二人っきりになるのはなんだか気恥ずかしい

「ニカとはうまくいってるの?」

「うん、大丈夫だよ」

「アナタも来年16になると徴兵されるでしょう?それまでにニカを母親にしてあげてちょうだい
 この村には、この地域見渡しても若い男性はミーシャしか居ないのよ
 相手の居ない年頃の女性はたくさんいる
 ニカのそばにミーシャが居てラッキーだわ」

「小さいころから兄貴とボク、カーチャとニカ
 4人はいつも一緒だったから……
 自然なことだよ」

「コーリャは無かったわよ、昔から野暮ったかったもの」

ミハイルは兄貴には聞かせられないな、と思った


ニコライ・グリンカは別の女性と結婚して子を作り実家の近くに家を建てて、徴兵された


「ボクはてっきりコーリャとくっ付くと思っていたんだけど……」


「若いときは親しい時もあったけど、続かなかったわ、貴重な男性陣かもしれないけどこればっかりは仕方ないわね」

エカチェリーナはいつの間にか隣の村の男性と知り合って、あっという間に結婚して、村を出た


「旦那さんはどんな人?」

「一度しか会ったこと無かったわよね?
 自分勝手な人だけどノリが合うのよ
 こちらも文句を言える
 そこがコーリャとの大きな違いね、コーリャは優しすぎて寡黙でしょ、何を考えているのかわからないの
 だからこっちから文句も言えない
 今の旦那はお互いぶつかり合えるの」

勝ち気なエカチェリーナと違い、ニコライの奥さんはのんびりとしたおっとり屋さんだ
 そう言われるとふたりは似たもの同士で結婚したのかもしれない

「今だから言うけど、私はコーリャと終わったあとアナタに目を付けていたのよ」

「ええっ?」

「そりゃ一番身近なのはコーリャとミーシャなんだから当然でしょ?
 でもさすがにコーリャに悪くて」

「ぼ、ボクもどちらかと言うと兄貴と似たタイプだと思うけど…」

「そうね……、おとなしいのは兄弟ふたりともね、でもミーシャには私は何でも話せるわ

 でもニカの気持ちも知ってたからね
 妹のことは頼んだわよ」

エカチェリーナは意味ありげに微笑んだ


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