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戦場のミハイル

第4章 遊撃部隊、北に進む

ミハイルは仕方なくコックピットのほうへ向かった


なんにも用事はないが、見張り役ぐらいにはなるだろう



「誰? なんだミーシャ? どうしたの」


この時間、哨戒役のエレナが脚をデスクの上に上げてリラックスしながらモニターを見ていた


「ちょっと部屋に居られなくなってね……」


ミハイルはいつも自分が座っている副砲の座席に座る


「おー、おー! モテるオトコは違うねぇ!」


エレナ・ウラジミロビナは若い活発な女のコだ
ポニーテールに赤いリボンを巻いている


腕もシャツの袖をまくりあげ肩を出している
投げ出した脚もショーパン風にアレンジしている

寒い地域ではあるが、肌を露出することで若さをアピールするのだと自負している


「そんなんじゃないよ、艦長と副長の痴話喧嘩に巻き込まれただけだよ」


「ああ、またね…」



この小隊ではいつもの光景だ


「どうせ、当分部屋には戻れないんだ
 ここで寝かせてもらうよ」



「私は良いけど……、そんなとこで眠れる?」


ミハイルはぼぉっと呆けながらセンサー類を眺めていた


「どぉせここらあたりは帝国領だから敵もうかつには近づかないだろ?」


特殊戦闘車両〈オービエン〉は雪と倒木の隙間に身を隠して束の間の休息をとっていた



あと少しで山を下りたら、あとは帝国領の小さな村に出る



村では食料を調達出来るだろう


遊撃隊は自由に行動できる特権があるものの、補給などの兵站手段が無いため、自力で補給ルートを得ながら戦闘を続けるしかない


エレナとミハイルが周囲の監視を怠ったところで、危険性は低いエリアまで近づいていた…



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