
戦場のミハイル
第4章 遊撃部隊、北に進む
「センサーの範囲を広げても敵影は無さそう、今夜はだいじょうぶそうね」
エレナはようやくコーヒーをくちにした
それでも赤外線ゴーグルは当てていた
「もう、帝国領の村まですぐだからね
帝国軍の駐屯地もあるし、ヤツらもバカじゃないよ」
「ねぇ、ミーシャは〈カミエーター〉なんでしょう?
村に滞在したらカミエーターの仕事もするの?」
カミエーターの仕事
それは神の愛を与えることだ
すなわち子づくりをして帝国国民を増やす聖職
この時代、急激に男性が減少していた
数百年と続く戦争のせいだと言う者もいれば、
遺伝子異常だと言う者もいる
どちらにせよ貴重な男性のなかでも、さらに数少ない若い個体ミハイルは大司教パパ・リムスキーの魔導によって老いのない聖職者〈カミエーター〉に選ばれた
子孫を残せ、と
これまでのミハイルは数々の生を与えてきた
本当に生を求める者から、性欲解消の道具にされるときもある
痩せた女、太った女、母親と変わらない熟女からときには老婆まで
求められれば応じる
自分からは拒まない
自分からは求めない
聖職者としてミハイルは純粋に神のかわりに愛を与えて続けてきた
「……そうだね、村につけばそうなるだろうね……、今までもそうだったし…」
「村に着けば私たちはちょっとした休暇になるのにミハイルはタイヘンね」
「軍人は仕事だけど、カミエーターは仕事じゃないからね」
「今のミーシャは軍人?」
「うーん、今はプライベートな時間だから軍人では無いのかな?どうだろう?」
「じゃあ今の時間はカミエーターかもしれないわけね? わたし哨戒任務中だけど相手できる?」
「いま? エレーニャは子供が欲しいの?」
「ううん、村に着いたらミーシャは忙しくなるのでしょう?だから今のうちにシテもらえたらって思って、ダメかしら?」
ミハイルは立ち上がった
エレナのシートの後ろから彼女の豊かな胸を鷲掴みにしてやる
「そうこなくっちゃ!」
エレナは監視を続けながら快楽にひたるのだった
