
戦場のミハイル
第4章 遊撃部隊、北に進む
1週間後
ミハイル・グリンカは小隊が泊まる宿へようやく戻ってきた
憔悴しきっていたミハイルはそのまま自室のベッドに倒れ、丸一日眠ってしまった
アレクサンドラとエレナもさすがに遠慮して宿から離れることにした
ミハイルが目覚めた頃、すでに8日目の夕方だった
身体が鉛のように重い
頭も痛い
腹は減ったが食欲が無い
広いバルコニーのリクライニングに横たわり、湖の夕景色を眺めていた…
「お目覚めかい、ミーシャ」
隣の部屋のバルコニーから小隊隊長のビクトリヤ・フョドロビナが前をはだけたバスローブ姿でワインを飲んでた
部屋の奥にはベッドの上で眠っている副長オルガ・ニコラエビナの姿が見える
オルガは裸にシーツをまとっているだけに見える
ふたりはつい先程まで愛し合っていたのだろう
教会は同性愛を禁じていたが、圧倒的に女性ばかりに片寄った世界では互いに身を寄せ合う者たちが多かった
ミハイルも聖職の立場だが、それも愛のカタチなのだと理解していた
ビクトリアとオルガは打ち解け合ったようだ
「……そんな姿で外に出ていたら風邪をひきますよ、ヴィーカ」
「ふふふ、歳を重ねた女の身体なんて興味なかろう?」
「いいえ、貴女は美しいです、オーリャでなくともその魅力はわかりますよ」
「そういえば以前にもまだ女として見てくれると言ってくれてたな」
ビクトリアはバスローブの紐を解いた
バルコニーの屋外でビクトリアは裸体を晒した
夕陽を浴びて金色に肢体が輝く
「ヴィーカ?」
「若さは無いけどね、鍛えてあるからそれほど落ちてはいないつもりだ」
「え、ええ……引き締まって、その、なんていうか……豪華な女性に思えます」
「ありがとうミーシャ」
少年の姿に固定されたミハイルだが脳の老化もしない
40歳代のビクトリアの熟れた身体を見てミハイルは思わず生唾を呑み込んだ
下半身にみなぎるものを感じる
起きたばかりのためか、ビクトリアの裸体を見たためか、ミハイルの股間は寝間着の上からでもわかるくらい大きく張っていく
ビクトリアもそれを見逃さなかった
「本当に相手にしてもらえそうね」
「もちろん、……ヴィーカ今からこちらの部屋に来れますか」
「ええ」
ふたりは笑顔でバルコニーを離れた
