戦場のミハイル
第6章 ニコライ議員の私邸
ガリーナとマイヤの二人の元へ応援の近衛兵たちもやって来た
簡単な打ち合わせをしてから、それぞれの配置に就く
正面、裏手、屋上など数名を警護にまわし、残りは30分ローテーションで配置替えをしていく
落ち着いた頃、ふたりのもとへニコライ・ヤコヴレヴィチ・ミャスコフスキー議員が近付いてきた
「リーニャ、マイーニャ、今夜はありがとう、すぐに娘と妻の元へ駆けつけてくれたそうだね
おかげで安全な夜を過ごせそうだ
ところで、何者かの工作らしいとバトラーから聞いたのだが……」
ふたりは敬礼を崩して応える
「配電盤は工具でこじ開けられています、停電のうちに何かしら行動をしようとしていたのかもしれません
ただ非常電源がすぐに作動したのと即座に皆さまが警戒態勢をとっていただいたので行動には移せなかったのかもしれません」
「地下の非常電源を増設しておいて正解だったな
実は一年前、まだ我が家に君たち常駐警備を依頼する前に何回か似たようなことがあったんだ
停電や不審火、フェンスの破壊などがね……、それで軍の総務局へ警備の依頼をかけたんだ
最近はなにも無かったんだが、また連続して何かがあるのかもしれない」
「わかりました、夜が明けたら総務局に増員の依頼をかけておきます
……それと……なにか心当たりがお有りでしょうか?」
「人の代表である私なので、個人的に疎まれる事もあれば、政局において排除しようとする団体もある
言い出したら切りが無いよ
私のような中枢でもない人間がこの有り様なので、本部の方はもっと酷い事件が頻発している
私の方も軍の上層部に数名の地人がいる
彼らにも話しをしておいて、君たちが動きやすいように手を回しておこう
障害が少ないほうがキミたちも何かと動きやすいだろう?」
「ありがとうございます、ニコライ議員」
「コーリャで良い、キミたちふたりからはそう呼ばれたい」
「わかりましたコーリャ、ご家族はわたしたちが守ります、ご安心を」
こうしてニコライ邸の長い夜が終わった