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戦場のミハイル

第6章 ニコライ議員の私邸


ニコライ邸の警備レベルが上がって一週間後


屋敷の二階から外の景色を眺めていたガリーナがふと気がつく


正面玄関からひとりの訪問者だ



屋敷に用がある者はたいてい高級車数台で来訪してくるものだ

屋敷の関係者なら裏門から入るはず


正面に現れた人物は徒歩での来訪らしい


それも従者など付けずに独りのようだ


ガリーナは念のため正面警備のクルーに無線を飛ばす



「今の人物は?」


「はい、ニコライ議員の個人的な来客のようです、議員の紹介状も持参していました」


「こんな時にプライベートな客?」


ふと下を見下ろすと正面の扉が開く音


マリア夫人と小さな娘イリーナが外へ出て出迎えたようだ


何を話しかけているのかまでは聞こえない


だが夫人のほうから客に熱いハグを交わしている


よほど親しい関係らしい


娘のイリーナも抱っこをせがみ、よく懐いているようだ


来客がどんな人物なのかフード越しでわからない


古ぼけたロングコートを羽織っている


「夫人の父親か? いや、それなら徒歩ではやって来ないものだろう」


ガリーナは部屋から出て吹き抜けの階段へ移動する


はしゃぐイリーナの弾んだ声が響く



ガリーナは階段を降りて、その人物に接近していく


密着している夫人


その人物に万全の信頼を寄せているように見える


「あ、リーニャ!」


抱えられたイリーナが階段に立っていたガリーナを見つけて声を掛ける



夫人のほうも目配せをしている


合図のようなのでガリーナは3人の前に立ちはだかった


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