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戦場のミハイル

第1章 辺境の村、その集落に未来はない

「君が16歳になったら是非、軍隊に加わり帝国のための手助けをして欲しい

だが、その前に……


私達が危惧しているのは残された人々のことなのだ

知っての通り…、この地方周辺には働き手となる男性がほとんど居ない

それはここだけではなく帝国全土に渡って共通している大きな課題なのだ

今の戦いに勝っても、十年後には帝国は弱体化してしまうだろう


そこでミハイル・グリンカ、そなたには〈カミエーター〉となって帝国を再び興すための一手となってほしい

まだ幼い君の未来を奪ってしまうようで、非常に心苦しい」


「〈カミエーター〉?」


「私、教皇が〈神の代理人〉とするならば、君は今から〈神の愛〉だよ

みなを救ってやって欲しい」

「えっと……、ぼくはいったい何をしたら…」


ミハイルは訳がわからず戸惑ってしまう


後ろに控えていたゼムフィラがサポートする


「君はこの辺境の村をいくつも廻って〈神の愛〉を皆に授けるのだ、非常に緊急だが私が立会人として〈カミエーター〉への儀式を行う

君を公的な立場として強要してしまう我々を許して欲しい」


教皇と補佐官のふたりは簡素な儀式を執り行ない、いくつかの祭具をミハイルに授けた


「我々はこれで失礼するよ、次の儀式をおこなうため東部へ赴かねばならない

詳しくはここの自治官に確認をして欲しい

16歳になったら前線で会おう」


ふたりの訪問者はあっという間に立ち去ってしまった


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