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魔法の玉

第2章 花火で盛り上がるグループの中にいる、先輩と後輩


 *


 夜空に高く打ち上がり、目が奪われるほどの大輪の花が咲いて始まった花火大会。

 会場の見物客らは、一斉に歓喜の声を上げる。

 それが一際目立っているのは、きっと、うちのグループ(会社)だろうな。


「たーまやぁー!」

「かーぎやぁー!」

「伊東に行くなら、ハー●ヤァー!」


 最後に誰かがオチをつけると、ギャハハと馬鹿笑いが湧いた。

 あーあ。花火が始まってまだ間もないってのに、すでに出来がってら。みんなコレ、花火を観ているようで、まともに観れてないんじゃないのか。翌日になって、『はぁ? 花火なんて観に行ったっけ?』なんて言おうものなら、朝早くから眺めのいいとこを陣取って、夜までずーっと番をしていた俺と後輩の山内(やまうち)は、かなりガックシするぞ。


「みなさん、花火が始まる前から、ハイペースで飲んでましたからねぇ」

「喜んだり楽しんだりするのは大いに結構なんだが、少しぐらい、俺と山内の苦労を考えて飲んでほしいよ。全く……」


 場所取り係だった俺と山内は、次から次へと見事に打ち上げていく花火と、次から次へと見事に酒を飲みあげていく酔っ払い達の、両方の画をつまみにし、チビチビと飲んでいた。

 いやしかし、今年の花火も見応えがあるな。小さな頃から眺めているのに、全然飽きることがない。


 一緒にカンチョーして遊んでいたアイツも、すっかり立派な花火師になったもんだ。


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