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シャイニーストッキング

第11章 絡まるストッキング10     連休最後の2日間…

 47 ゆかりと大原本部長(9)

「あ…ごめん…
 急に予定変わったから、我慢出来なくなっちゃって…
 来ちゃったの…」

 そう、ゆかりは言ってきた。

「いや、嬉しかった、あ…
 嬉しいよ…」
 
「ほ、本当?」

「ああ、本当だよ、逢いたかったし…」

「ウソでも嬉しいわ」

「ウソじゃないさ」

 これは本当であった…
 さっきまでゆかりの顔を見れるのも明日の夕方からか…
 と、本当にそう思っていたから、サプライズ的な嬉しさもあった。

 いくら帰省中に、結果的に三人の女達と色々とあっても…
 やっぱり、本命は、このゆかりであるから。


「いやぁ、タクシー降りたらいい女が立ってるからさぁ、ドキッとしちゃったよぉ」
 これも、本音である。

 本当にドキッとしたのだ…

「多分ね、このくらいの時間に帰ってくるんじゃないかなぁって…」

 いや、ホントは私にGPSを付けているんだろう?…
 そう思える位にゆかりの勘は鋭いんだ。

 それにさっきのシャネルの香水の香りの話しだって…
 本当にドキッとしてしまう位に鋭い勘である。

 だが、無事に切り抜けられた…
 そして私は、ふと思った疑問を問うてみた。


「でも、もし帰ってなかったら?」

「うん、その時はエントランスのロビーのソファで待ってようかなぁって…」

「あ、でも鍵持ってるじゃん」
 そう、ゆかりには合鍵を渡している。

「え、でも、なんか、図々しいかなぁ…ってぇ」
 その彼女の何気ない言葉に、なぜか心が震えてしまった。

 そして思わず…

「そんなことないさ」
 そう囁きながら、また、再び、ゆかりの肩を抱き、キスをしてしまう。

「そういえばゆかりは一度も合鍵で入ってきた事無かったなぁ?」
 そんなゆかりの想いと気遣いが、たまらなく好きでもあるのだ。

 今までも何回か、ほんの数回ではあるのだが、突然のゆかりの来訪があった…

 だけど、そのいずれも…

 いつも…

 このマンションのエントランスホールで待っていたのだ。






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