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シャイニーストッキング

第11章 絡まるストッキング10     連休最後の2日間…

 48 ゆかりと大原本部長(10)

「そういえばゆかりは一度も合鍵で入ってきた事無かったなぁ?」

 多分、毎回、帰宅したら、合鍵で部屋でゆかりが待っていた…
 これがもし何度となく続いていたならば、私は少し、興醒め、いや、心が離れていたかもしれない。

 男の心理、いや、私の心理的にはこうしたゆかりの一歩引いた姿勢が好きなのかもしれないのだ…
 多分、いや、間違いない。

 そして私自身も未だかつて、勝手にゆかりのマンションに入った事も無いし、これからもよほどの緊急事態じゃなければ勝手に入るつもりは全く無い。

 そして、これが、私の、いや、二人の暗黙のルールの一つであるとも思っている…

 そしてそのお互いのプライベートな一面の一つを保つ事がこの先にも通ずると私は思っているし…

 その為にも…

 たいがいの…

 いつもの逢瀬を…

 わざわざ外で待ち合わせをして、食事をし、私のお気に入りのホテルで過ごすのだから…

 ただ、この二ヶ月位前からは、急にお互いの多忙のせいで、そのリズムが崩れてしまってはいた。

 だが、それは、あくまでも仕事のせいであり、二人の間に問題がある訳ではない…

「じゃあ、合鍵要らないかぁ」
 私はからかいの意味でそう囁く。

「え、や、イヤよ、ダメ、要る」
 すると、ゆかりは必死な感じでそう言ってきた。

「嘘だよ、ウソ」

「もう、意地悪なんだからぁ」

「いや、あまりにもかわいい顔をするからさ、ついさ…」

 だが、本当だ…

 本当にかわいい顔をする。


「もぉ…」

 ほら、そのふくれっ面だって…

 今までは、本当に、そんな顔はしたことが無い。

『大原くんの愛情のおかげかもね…』
 すると、同期で昔の営業課時代の相棒で、今もかなり助けてくれている…
 笠原響子主任の言葉が脳裏に蘇ってくる。


 本当にゆかりは変わったんだ…

 昔は、いや、ついこの前までは絶対にこんな顔はしたことが無い、いや、無かった。


「ねぇ…」

「うん?」

「抱いて…欲しい…の…」

 そして…

 こんな濡れた、艶やかな顔を、いや、目をして…

 囁居てきた事も…

 無かった…

「あぁ…
 私も、ゆかりを抱きたいよ…」

 そう…

 心が、心から、ゆかりが欲しい…

 欲しくて…

 抱きたくて…

 堪らない…



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