テキストサイズ

シャイニーストッキング

第3章 絡まるストッキング2 美冴

 50 涙のキス

「け、健太…
 あ、貴方がいたから…
 貴方と一緒だったから…
 安心できたの…甘えたの…」
 なんとか嗚咽をしながらもそこまで必死に言葉を繋いだ。
 そして涙が止まらず、次から次へと溢れ落ちてくる。

「美冴さん…」
 健太はわたしを抱き締めてきた。

「ここまで話しをしてくれて嬉しいです
 俺が…
 俺が、これから俺が…
 美冴さんを守りますから…」
 抱き締めながらそう云ってきたのだ。

「………ひんっ…」

「大丈夫ですよ、これからも、もしヤバくなったら、俺がこうして守りますから、何の心配もいりませんよ…」
 それに、俺が治しますから、いや、治してあげますよ…
 そう云って、今までのように爽やかな笑顔を見せてきたのだ。

「ここまでの話しを俺にしてくれて、ありがとう…」
 そう云ってキスをしてきた。

「ひっ、ひんっ、ひっく…」
 わたしはその健太の優しい言葉に心の中の涙のダムが壊れてしまったかのように、更に激しく泣きじゃくり、嗚咽をしてしまう。

「ひっ、ひんっ、ひん…」
 そして健太とのキスが涙の味で塩辛かった。

 よかった、健太に話してよかった…
 そして心からそう思っていたのだ。

 きっと健太のこの爽やかさが、優しさがわたしの壊れた心を癒してくれる…
 かもしれない…

 抱かれながら、健太の優しいぬくもりを感じながら、そう思っていた、いや、思えていたのである。

 しばらくは健太、彼に甘えていこう…

 大丈夫だ…

「け、健太ぁ、ひ、ひんっ…」

 わたしは涙でぐじゅぐじゅになっていく…











「……………っ、はっ…」
 ふと、目が覚める。

 あっ、寝てしまったのか…
 横を見ると健太が寝息を立てていた。
 そしてベッドボードの時計を見る。

   AM 04:25
 
 あ、やばい、あれから泣きながらすっかり寝込んでしまったようだ…

 わたしはそっと起き上がり、バスルームに入り、鏡を見る。

 ああ、やってしまったわ…

 泣きじゃくったせいで目が思い切り腫れていたのだ。
 そして目が真っ赤であった。

 出勤までに治るかしら…

 そしてベッドに戻ると健太がボーっと起きていた。

「あ、ごめん、起こしちゃったね…」

「…え、いや、大丈夫です…」
 





ストーリーメニュー

TOPTOPへ