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シャイニーストッキング

第18章 ほつれるストッキング2          蒼井美冴と松下律子

 49 融ける夜(2)

「ふぅ、ふぅ、ふぅぅ………」

 さっきまで、あれほど警戒していたのに…
  今はこんなにも無防備に、私の目の前で眠っている。
 わたしはふと、この目の前で酔い潰れている松下さんを見つめ、そう思っていた。

 そして、その事実が、なぜか胸に重く感じられていたーー

 なぜなら、さっきまでこの松下さんと会話を交わし…
 お互いの想い、本音を吐き漏らし…
 共通のオトコ、大原浩一を共有していると思えるかの様なシンパシーをも感じ、共感してしまったのにも関わらずに……
 わたしは、この松下さんに対して…………
 共感、シンパシーだけではなく…
 嫉妬心、苛立ち…
 そして、彼からの略奪……
 までをも、感じてしまっていたから。

 彼からの略奪ーー
 それはオンナ同士であるが故の、矛盾した衝動。

 初めて彼、大原浩一に抱かれた夜、わたしはその略奪という欲望の衝動を強く抱いた事があった…
 だけどその衝動は…
 ゆかりさんから彼を奪い、寝取る、という思いであった。

 だが、この今のわたしの衝動は…
 彼からこの松下さんを奪いたい、という欲望の思いである。

 それはつまり、オトコの彼から、オンナのわたしが、同性のオンナである松下さんを奪い、寝取りたい…
 という、ある意味、矛盾した衝動の思い。

 しかし、さっきまでの松下さんとの会話の中で、彼に対する揺るぎのない強い愛情、想いは十分に伝わり、感じられてはいたのだが…
 なぜか…
 わたしにはこの松下さんを奪い、寝取れる自信が、理由もなく溢れていた。
 
 それは、きっと、昨日の常務室での初対面から感じてきていた、この…
 魅惑的で美しく、妖しいストッキング脚を見て、そう思えているのだとーー

 つまり、松下さんは、わたしと同類のオンナであるから……と。

 わたしの中のオンナが、そう、囁いてきていたのであるーー

 そしてもう一つ…
 松下さんは、わたしが薦めたカクテルを四杯飲んで、こうして酔い潰れてしまっている。

 つまりそれは、一緒のペースで飲んでいたわたしも同じ事であり…
 いや、わたし自身もお酒は強くはないし、四杯なんて飲んだ事もなかった。

 そう、わたしもお酒に酔っているのだ…
 ただなぜか、酔い潰れてはいないだけ、といえるのだった。

 さっきから、鼓動が早鳴っているーー


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