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　136　整理…

「もおっやだぁ、健太さんたら、さっきから何でそんなにわたしの顔を見てるのよぉ…」
「あっ、いや、そのぉ…
　美冴さん綺麗だなぁって…」
　思わず、ドキドキしながら応えてしまう。

「ええ、もおっ、やめてよぉ…
　こんなおばさんの顔を、ましてやこんな昼間の明るい下での顔なんて見ないでよぉ…」
「あ、いや、おばさんだなんて…」
「もうおばさんだからぁ…」
　そう言いながら美冴さんは反対側を向いてしまった。
　だが、決して本気で怒ってはいない。

「いや、美冴さんはおばさんだなんて…」
　俺はそう言いながら、向こうを向いてしまった美冴さんの後ろから抱き締めていく。

「大好きです…
　愛してます…」
　思わずそう囁いてしまった。

「うん………わたしも…」
　すると美冴さんは向こうを向きながらそう応えたてくれたのだ。

　うわぁ、マジかぁ…
　心の中でそう叫ぶ。

　今日、抱きながら、ようやく美冴さんを実感して、落ち着いて愛せたのだ。
　そして改めて美冴さんの女性としての魅力に魅了され、魅力溢れる女として認識をした。

　そして、その想いは正に『愛』である、いや、『愛』なのだ…

　そしてその存在が今、こうして俺の腕の中にいるのである。

　絶対に離さない…

　すると不意に、明日からの美和との二泊三日の京都旅行の事が脳裏に浮かび、そして罪悪感が湧いてきたのだ。

『ちゃんと整理してね…』
　それと同時に、美冴さんがそう云った言葉も浮かんできた。

　そうだ、そうだよ、明日からの美和との旅行でちゃんと整理を、綺麗に別れてくるんだから…
　と、俺は必死に自分自身に言い訳をする。

「えっ、なに…」
　すると、まるで俺の心の声が聞こえたかの様に美冴さんが訊いてきたのだ。

「えっ、いや、何も…」
「あ、そうなの、なんか訊こえた気がしたから…」
　思うずドキッとしてしまう。

　俺の心の声が筒抜けなんかなぁ…

「あっ、美冴さんは明日からはアレでしたっけ…」
　誤魔化すように訊いた。

「えっ、あ、明日…
　うん、お盆だから色々ね、父親が亡くなってるからさぁ…」
「あ、そうでしたよね…」
「健太さんもアレなんでしょう、お墓参りとか…」
「あ、はい、少しだけ親戚周りしないと…」
　必死に嘘を付く。

「ちょっとだけ面倒よねぇ…ま、仕方ないけどね…」