でも、猫系彼氏に振り回されたい
第1章 ツンデレじゃないもん
「久しぶりだから、痛かったらいってね」
「うん…」
ローションで滑らせて、ゆっくりはいっていく。
「て…つないで」
湊が細い指を伸ばす。
手を繋ぐと幸せな気持ちが増して、愛おしさが胸を詰まらせる。
「奥まではいった…痛くない?」
「大丈夫…でも、まだ動かないで、ぎゅってして」
黙って抱き合うと、お互いの心臓がドクドク鳴っているのがよくわかる。少し汗が滲んだ肌が絡み合って、体温が伝わってきて、より湊を感じたくなって、強く抱きしめる。
「凌」
返事をする代わりに腕に力を込める。
「パンケーキ美味しかった」
「…い、いま?」
「ありがとう…って…こと、ぜんぶ」
ポツポツと話し出したものの、湊は恥ずかしそうに声を小さくしていった。不器用でかわいくて、すこし笑ってしまう。
「いつもありがとう、みなと」
きっとこう言いたかったんだろうな、と勝手に推測して、代わりに伝えた。でも、おれの自意識過剰かもしれないと思って、俺も少し恥ずかしくなる。