でも、猫系彼氏に振り回されたい
第2章 写真には残さない
「もう、わかるとかわかんないとかいいから、早く帰ろーよ」
急にプイッとそっぽを向いて、湊がすたすた歩きだす。なんと自由な男なんだ。
「はーい」
と返事して、着いていくのも悪くない。
湊はスタスタと家の方へ歩いていく。
「湊、スーパー行くからそっちの道じゃないよ」
「うるせーばか」
道を間違えた湊が不貞腐れた態度で、ゆっくり戻ってくる。
「言ってよ」
「言ったよさっき」
「ふーーーん」
尖らせた唇も愛おしい。俺をドキドキさせるために、あざとく拗ねて見せる湊の、そのしたたかさまで愛したいと思ってしまうのが、俺の悪いところなのかもしれない。
「美味しいご飯つくるから許して」
「楽しみにしてる」
口を尖らせたまま、少し照れくさそうに湊が言う。
胸が詰まるような愛おしさに、つい、頭を撫でてしまった。
「ねえ、やだ」
湊は顔を歪めながら、気分じゃないときの猫のように、ぐいーっと体をそらせて、俺の手から逃げようとする。