でも、猫系彼氏に振り回されたい
第3章 かわいい子には旅をさせろ
ここら辺では有名な、ちょっと面倒なお客さんが来店しても、湊のことを考えれば落ち着けるし、湊が好きなドリンクの注文が入ると、嬉しい気持ちになる。
俺は、バカで幸せな男だな〜。
そんなこんなで忙しい時間を乗り越えると、店にはお客さんがひとりもいなくなった。
「凌くん、おつかれ。なんか、急に暇になったねえ」
店主のミキさんが、洗い物を終えて、手を拭きながら声をかけてくる。もう50代だと思うが、とても若々しくて美人だ。
「そうっすねえ。暑いですしねえ〜」
ぼんやり、カレンダーなんかを眺めながら返事をする。あーあ、今週は湊ナシなのか、なんて思ったりして。
「で、彼氏とはいい感じ?」
「はい、まあ」
…え、彼氏!?なんで知ってんの!?