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でも、猫系彼氏に振り回されたい

第4章 天使と猫のハーフ


「ふうん、じゃあ、ここでバイバイだね。お利口さんにしてるんだよ」

パッと手を離されて、少し悲しくなる。

「また会ってくれますよね」

「今度は、凌くんが働いてるお店に行くから、とびっきり美味しいものつくってね」

マンションの白い光に照らされている湊さんは、青白いくらいに透き通っている。
長いまつ毛も、赤い唇も、小さな耳も、くしゃくしゃの髪も全部覚えとかなきゃと、心の写真フォルダーに必死に残そうとしている。また、すぐに会えるといいけど。

「じゃあ、俺お手製の、おいしいパンケーキ作ります。だから、はやく会えるの、楽しみにしてます…」

「パンケーキ、いいねえ。楽しみにしてるよ。じゃあ、またお店でねえ〜」

無邪気に笑いながら、湊さんは俺に手を振ろうとしたけど、つい、俺はその腕を掴んで、湊さんを抱き寄せてしまった。

「すみません…。我慢できなくて…」

抵抗するでもなく、湊さんは黙って抱かれている。

「好きです、本当に。だから、好きじゃないなら、期待させないでくださいね」

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