夢魔
第1章 娼館の少女
それでもまだ迷いのある表情をした男が上着を脱ぎ始める。
「まだ月のものも来ていない癖に、随分と男をたらしこむのが上手いそうじゃないか?」
話しながらゆっくりと寝台に近付き、少女の脇の下に手を入れ立ち上がらせた。
少女は大人しく、抵抗する様子はない。
はだけた彼のシャツの下からは赤黒い男根が垂れていた。
少女は反射的にそこから目を逸らした。
男の手のひらに、僅かに少女の震えが伝わってくる。
(やはり主人はまだ初心い女を自分に当てがったのだ)
こんな所に来たというのに。 男は若干面倒な気持ちになった。 娼館とは気を遣うことなく女性からサービスを受ける場所であり、今晩のように人付き合いで誘われて来たのなら、それ以外のことはあまり興味が無いのが正直な所だ。
とはいえ、店の者が言った通り、少女は確かに生まれ育ちは良いようだった。
よく見ると貴族的といっていい清楚な顔立ちだ。
質素な膝までの下着のみを身に付けてはいた。
だが、決して汚らしいとか下品だとかそんな印象は持たない。
家人が亡くなるなどの理由で家が没落し、幼い子女がこうして売られるのはそう珍しいことではない。
男はほんの少し少女に同情した。
「ミーシャといったかな。 さあ、咥えてくれ」
ミーシャは控えめに男を見あげた。
この前の男よりは、優しそうだと彼女は思った。
加虐趣味のあったその男は、ミーシャをさんざ弄んだ。 終わった後でも、それでも足りずと張り型や、用紙を留める木鋏で、彼女の身体を堪能した。
(……けれど全員やる事は大して変わらない。 そして私は、逃げられない)
ミーシャは目を伏せたまま彼の足元に膝をつけた。
男に奉仕を始めた。
「お……っ」
男が息を漏らして腰を逸らす。
まだ萎えている内にちゅる、とミーシャが口内にそれを含ませる。 柔らかな舌で包んでいく。
その際に生臭い、雄独特の匂いが鼻をついて彼女が一瞬眉をしかめた。
「ん、む…む……」
(ああ、まただ)
少女の腹部の奥がすぼまり、じくじくとうずく。
「ほう……美味いか?」
それが足先まで広がり、次に頭がぼうっとする。
そしたら私はこれを、たまらなく愛しく思ってしまう。 ミーシャはその理由を考えられない。
「お、美味しいです。 ああ、旦那様……」