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短編集 一区間のラブストーリー

第19章 短編その十九


「私たちセレブは自分の足で
買い物をしてはいけませんわ。
用入りのものがあれば
百貨店がこちらに
出向いていただくのが常識よ」

あかねは自分の意思で
デパートやスーパーへ買い物へ行って
自分の目で直に商品を見て、
満足するものを買いたかったが
朝比奈という男に惚れてしまったので
外商にお世話になることにした。

「西木様、今回は大変申しにくいのですが…」

朝比奈は、いつも以上に
背筋をピンとなおして居住まいを正して
そう切り出した。

「あら、なにかしら?・・・」

あかねは、なぜか心がざわついた。

「この度、当百貨店は外商部を
縮小することに相成りました
よって西木様のお宅へ訪問するのは
今日が最後になります・・・」

ピンと張った背筋が語尾とともに
悲しいほど萎んだ。

「え?」

なにかの聞き間違えかと思い、
おもわず朝比奈の顔を覗き込んだ。

「あ、でも、西木様には
特別にお得な情報をお持ちしました・・・
この度、外商を
ご利用いただいておりましたお客様専用に
優良会員様としまして特別カードを
ご提供していただける・・・」

朝比奈の言葉が言い終わらぬうちに、
あかねは朝比奈に抱きついていた。

「に、西木様・・・」

「外商が縮小されて、
うちが外商扱いされなくなってもかまわない!
そんなのどうでもいいの・・・
あなたがもう、うちへ来てくれなくなるのが
つらいのよ!」

ずっとあなたが好きでした・・・
そういって朝比奈の手を取り、
豊満なバストへと導いた。


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