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🕯️🕯️悪夢の神様2🕯️🕯️

第18章 静かな憎悪が積もる…


つい――――…


音信不通の兄を思い出す。



「ボクシング…とか…強そうですね」


「ええ――――野口は強いですよ」


少年は自慢げに彼を見る――――…


秘書として有望なだけでなく、ボディーガードとしても優秀らしい彼は顔色を変えずに少年を見ると頭を軽く下げた。


「さぁ、本明教祖――――…あちらにも紹介したい方がいらっしゃいますので…」


ジジイがチラッと奥に視線を向ける。


この会を主催した発起人が奥にいることは知っていた――――…先ほど俺に挨拶をし、さっさと自分の席に戻った――――…仙人のような老人がいる。



ジジイはその仙人に少年を紹介し――――…後ろの女といい感じになりたいのだろう…鼻の下を伸ばしながら…視線は胸元をとらえて放さない。



「そうですか――――…では、私はこれで」


俺は、少年とジジイにそう言うと、退場するため足を前に出した。


その時――――…ボディーガードだと言う…野口の隣を通りすぎた…





――――フワッ…




…え?




彼の隣を通りすぎた瞬間…



懐かしくも……悔しい…



そんな――――記憶の香りが鼻をかすめた…



振り返りたかった…


が、振り替えったら負けない気がして…



俺は拳に力を込め――――…何事もないように…足を止めずに…歩き続け…会場を後にした。




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