ペニクリを愛して
第2章 ニューハーフの扉
そんなことから家を出てからも
母は父に内緒で
こっそり私を支援してくれました。
豊胸手術をしたあと、
街で久しぶりに母と落ち合った時は
ビックリされると共に
綺麗になった私を見て
「娘ができたようだわ」と喜んでくれて
いろんな洋服や化粧品を買ってくれました。
私は髭も生えず、
整形もせずともメイクだけで
女性そのものだったので
やはり女に生まれるべきだったのかなと
思ったのです。
私は成人してからも
定職にはつきませんでした。
正確には
定職にはつけなかったと言うべきでしょう。
それも当然です。
履歴書には性別が男だし、
名前だって「大杉京平」という
立派な男なのに
外見では女なのですから。
メンズのリクルートスーツは
着れませんでしたし
着用するつもりもありませんでした。
だって豊胸手術も施しているのだから
メンズスーツなんて
似合うはずもありませんでした。
しかしながら生きていくには
お金を稼がなければいけません。
いろんなところに面接を受けた結果、
性同一性障害に理解のある女性オーナーが
経営するブティックで
販売員としてお仕事を手に入れました。