白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~
第12章 令嬢 緑川志保
まあまあ、
彼はコンパデビューでありましてえ、
少々堅くなってるようであります。
と、直樹がフォローしてくれる。
そして、例の彼女が自己紹介しはじめた。
「はじめまして、緑川志保といいます。
A学院大学1回生です。
演劇部で小道具担当しています。
私も今回が初めてですので
よろしくお願いします」
お願いされちゃうよぉ~。
彼氏に立候補していいっすかぁ~。
あちらこちらから声が飛ぶ。
どうやら、彼女がこの中で1番人気のようだ。
志保さんかあ・・・
いい名前だなあ。
明るい香織や
淫乱で姉御肌の里中さんにはない、
おしとやかで清楚なタイプ・・・
「江本さん・・・」
彼女から話しかけてきてくれた。
「ずいぶん無口な方なんですね?」
「はあ…ちょっとみんなに
圧倒されてまして…」
「私もなんです。
さっきから矢継ぎ早に
質問攻めにあってしまって…
江本さん、作家志望なんですって?」
えっ?自己紹介のときのこと
覚えてくれてたの?
「どういったジャンルなんですか?」
「えっ?…
あまり大きな声でいえないんですけど、
官能小説を…」
「まあ!…つまりその…
Hなお話なんですよね?」
そう、いつもこの時点で
相手に退かれてしまう。
官能小説のどこがいけないっていうんだ。
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