白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~
第18章 最終章
シャワーを浴びて戻ってみると
磯崎は先日に
吉岡がゴミ箱に捨てた原稿を
探し出して熟読していた…
「先生、素敵な初恋をされたんですね…」
物語に感情移入したのか
ウットリとした表情でそう告げた。
「そうかい?でもボツになったから
そのお話が世に出ることはないのさ」
「あら、勿体ない…
そうだ!先生、自主出版しましょうよ
自主出版なら弊社も文句言えないわ」
そうか、その手があったか!
「それもペンネームでなく、
本名で出すの。
ひょっとしたら、
理恵さんが手にとって
読んでくれるかもしれないわ」
ナイスアイデアだ。
手筈はすべて磯崎が整えてくれた。
題名は、すでに「白い雫(しずく)」が
別編で出版されていたので、
「白い飛沫(しぶき)」とした。
理恵・・・どうか見てくれ。
淡い期待だった。
女性が官能小説を購入してまで
読むとは思えなかったからだ。