白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~
第18章 最終章
数日後、
順也は、思いがけない磯崎の訪問に戸惑った。
『なに?原稿依頼なのか?』
「うふふ、何しに来たんだって顔してるわね」
「えっ?いや、今日は会う約束してたっけ?」
さきほど、取材旅行から
帰ってきたばかりだから、
体はクタクタだった。
抱いてほしいとせがまれても、
たぶん今日は勃起しないだろう。
「会う約束をしていないと
訪ねてきちゃダメ?」
いや、そんなことはないけど・・・
言葉を濁していると、
彼女はバッグをゴソゴソし始めた。
『バイブとかで遊んで欲しいのか?
今日は勘弁してくれよ』
嫌そうな顔がでてしまったのか、
僕の顔を見て、
「うんざりって顔ね。
ふん、いいのかなあ。
そんな顔をして。
せっかく大事な届けものを
持ってきてあげたのに」
届けもの?
「ジャジャーン!これなにかわかる?」
手には書簡が握られていた。
「手紙…かな?ファンレターですか?」
「ピンポーン!
でも、ただのファンレターじゃあないわよ。
たぶんね・・・」
そう言って手紙を僕に手渡してくれた。