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白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~

第1章 プロローグ


教室の自分の席に座り、
ボーとしていると、
背後から声をかけられた。

「おはよう」

この声は・・・。

振り向くと、
理恵ちゃんの笑顔があった。

「お、おはよっす」

我ながら、
なんとも素っ頓狂なあいさつをしてしまった。

理恵ちゃんは、目がクリッとしていて
笑うとえくぼができる可愛い子だった。

えっ?

ほのかに理恵ちゃん、
いい匂いがするじゃん!

「なに?どうかした?」

「う、ううん。なんでもない」

今にして思えば、
シャンプーの匂いだったんだろうけど、
今朝の、直樹の言葉に
暗示をかけられていた僕にとっては
雷が落ちたような衝撃だった。

理恵ちゃんは、毛が生えてる・・・

その日、一日中、
理恵ちゃんの毛のことで頭がいっぱいだった。

理恵ちゃんは、いつでもキスできる。
僕も早く生やさなきゃ。
生やさなきゃ。
生やさなきゃ・・・。



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