白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~
第10章 順也と理恵 それぞれの歩む道
「お前さあ、告られたんだぜ。
チャンスじゃないか」
直樹が僕をけしかける。
いつもの直樹の部屋で
僕達2人はつるんでいた。
「でも、もう卒業しちゃったし」
「なにいってんだよ。
同じ校区なんだし
付き合おうと思えば付き合えるじゃないか」
そうか、そうだよな。
理恵ちゃんみたいに、
遠い国へ行ちゃったわけじゃないんだもんな。
「なあなあ、野口をデートに誘っちゃえよ。
そうだ、あいつ島本洋子と
いつもつるんでたじゃん。
二対二のダブルデートしようぜ」
「二対二?」
「俺を退けもんにするなよ~」
直樹が媚を売るように僕の肩を抱く。
善は急げってなわけで
クラス名簿の連絡表を頼りに野口に電話した。
「もしもし、野口さん?・・・
そう、江本です。・・・・
いやいや、そんな事、
大した事じゃないから・・・」
野口さんは、はしゃいだ声をだしていた。
第2ボタンのお礼を
嬉々として話す野口さんの言葉を遮り、
二対二のデートを提案した。
「うん、そう。・・・
いや、いきなり二人っきりのデートって
緊張するじゃない。・・・
うん。そう。・・・
野口さんと島本さん。
こっちは僕と直樹。・・・
じゃあ、あとで、・・
うん、連絡を待ってるから。・・・
うん。じゃあ」
「オッケーか?なあなあ、オッケーか?」
「うん。島本さんの都合次第だって」
十分後に野口さんから連絡がきた。
オッケーだってさ。
やったね初デートだ。
卒業のお祝いムードが
残っているうちにってことで
明日、四人で遊園地デートすることを決めた。