白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~
第10章 順也と理恵 それぞれの歩む道
遊園地デートの締めくくりは観覧車。
僕たちはお互いのペアで別々の箱に入った。
一つ後ろの箱に乗っている直樹の
様子を見てみると、
二人で楽しそうに会話している。
どうやら今日一日で
かなり親しくなったみたいだ。
野口さんはというと、
観覧車から下界を見下ろし
「あ、あれにも乗ったね」とか言って
はしゃいでいる。
観覧車の箱が頂点にきたとき、
前の箱も後ろの箱も僕たちの視界から消えた。
そのとき、野口さんが
「ねえ、キスして」っておねだりしてきた。
僕は里中先輩や理恵ちゃんと経験ずみだから、
なんの抵抗もなく野口さんと唇を重ねた。
観覧車を降りるときには、
お互いを「順也くん」「香織ちゃん」と
名前で呼び合っていた。
後から降りてきた直樹を見ると
島本さんと手をつなぎ
顔を茹タコのように真っ赤にしている。
どうやらあの二人にも
頂点で進展があったようだ。
お互いのカップリングが成功したようなので、
帰りは別行動をとった。
帰りの電車の中で香織ちゃんが
「今度は二人っきりでデートしたいなあ」ってつぶやいた。
「そうだね今度は二人だけでデートしよう」
そう言ってあげると
僕の肩に頭を付けて体を密着させた。