白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~
第10章 順也と理恵 それぞれの歩む道
僕と香織との交際は順調だった。
デートは、もっぱら近くの公園か
郊外の映画館。
「ねえ、夏休み。どうする?」
公園の木陰でベンチに座って
雑談をしている時に、
唐突に香織が問いかけてきた。
「どうするって?」
「旅行に行きたいなあ~。なあんてね」
「旅行?」
それって・・・それって・・・
お泊りってことだよね?
お泊りってことは・・・だよね?
「2人っきりで?」
「もちろん」
顔が自然とにやけてしまう。
なんか、いろんな楽しい事を考えただけで
鼻血が出そうになっちゃう。
「旅行って言っても
そんなに遠くでなくていいの。
隣県の観光地でもいいのよ。
もっと簡素に海水浴キャンプでもいいの。
順也くんと24時間
ずーっと一緒にいたいの。
ダメ?」
ぶんぶんと首を振った。
全然ダメじゃないっすよ。
「24時間ってことは・・・
寝るのも・・・一緒?」
コクンと首を縦に振る。
むふふ・・・
ついに童貞くんともおさらばだあ。
ちょっと待てよ。
それにはまず先立つものが必要じゃん。
とりあえず夏休みの最初の十日間、
必死にバイトをすることにした。