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白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~

第10章 順也と理恵 それぞれの歩む道


「順也くん、バイトがんばってるわねえ」

里中さんが日焼けした小麦色の笑顔で
話しかけてくれた。

「里中さんが紹介してくれたバイトですもん。
僕がんばっちゃいます」

僕は中学校の先輩である里中さんの紹介で
コンビニの短期バイトに精をだした。

「私も順也くんがパートナーだと
やりやすいし、
ほんと助かるわあ」

「しかし、意外だったなあ。
里中さん、テニス辞めちゃったなんて」

「肘をこわしちゃってね。
おかげで夏休みはバイト三昧よ。
それより、短期バイトだなんて
一体なにが目的?
なにかの軍資金集めなんでしょ?」

さすが里中先輩。するどい。

「いやあ、じつは香織と
海へ行こうかなあ、
なんて」

「彼女と海かあ。いいねえ。
私もついて行こうかなあ」

「えっ?」

「あははは、ウソよ。
そんな野暮なことしないわよ」

ああビックリしたあ。
里中先輩って行動的だから、
あながち冗談とは思えないんだよなあ。

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