白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~
第10章 順也と理恵 それぞれの歩む道
『ツインっていったって
ベッドはシングルが2台・・・
1台に2人ってのはやっぱり狭いよなあ』
僕はなんとか2台のベッドを
合体させようと試みた。
でも重い・・・
ベッドは少しも動いてくれない。
「くわ~っ!ふぬ~っ!」
全身の力を込めベッドを押す。
「なにしてんの?」
いつのまにかバスルームからでた香織が
怪訝そうな眼差しで僕を見ている。
「あっ・・・いや、その・・・あははは」
笑って誤魔化すしかない。
テレビでも見る?なんて取り繕いながら
リモコンのスイッチを入れ、
ベッドに腰掛ける。
「せっかく2人っきりなのに、
テレビなんていいわよ」
そう言って香織は僕の隣に腰掛けた。
「あっ、バスタオル、
新しいのあったんだね」
「うん、4枚用意してくれてたみたい」
シャンプーの香りが鼻腔をくすぐる。
お互い、バスタオルを剥ぎ取れば
生まれたまんまの姿だ。
「さ、さて・・・そろそろ寝るかな」
ムード作りもへったくれもない。
こんなときは
どんな風にリードしたらいいんだ?
「隣に寝てもいい?」
「えっ?・・・いいけど、狭いよ」
「かまわないわ」
そう言って香織はベッドに横になった。
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