神の口笛
第11章 11
…
エマが30歳になった年の終わり、なんと北の地より数人の兵士が帰ってきた。
それは訓練が休みの日の朝だったが、基地内は大騒ぎだ。
なにせ戦が終わって2年も経つのだから、驚くのも当然だろう。
「ちょちょちょっ!ちょっとエマ!!!起きて!!」
まだすっかり眠っているエマをこれでもかと揺らしまくり、ステラが大声を出す。
「んん…。」
寝返りを打ってまだ寝ようとするエマに、今度はハッキリと言った。
「北から兵士が戻って来たの!!!!」
それを聞くとエマのまぶたはバチリとひらき、ビックリ箱のように上体が飛び起きた。
「グレイも?!」
「まだ分からないの。…でも!なにか情報は得られるかもしれないよ!行こう!」
エマにしては珍しく取り乱し、大急ぎで着替えを終え、髪もボサボサのまま部屋を飛び出した。
東棟を出て、基地の中央にある主要人会議室へ走る。
ここからでも、その周囲に多くの兵士たちが集まっているのが分かった。
わらわらと人ごみをかき分けるが、戻って来た兵士らしい姿はなかった。
まわりの人間が言うには、今はこの会議室の中で帰還の報告がなされているようだ。
「まぁどっちにしても、明日の朝礼で発表されるだろう」
やがてこの騒ぎに飽きた者が去り始めるが、それでも数十人は待ち続けていた。
それからしばらくして、やっと会議室の扉が開いた。
立ち続けていたエマは棒のようになった足をなんとか一歩前へ踏み出した。
大きなケガを負った様子もなく、1人…また1人と兵士が出てくる。
周囲にいた者たちがワァ!と歓声をあげ、抱き着いたり、おかえりと言葉を投げかけている。
「…。」
4人目が出てくると、次の兵士はもういないように間があいた。
「エマ…」
心配そうにステラが背中をさする。
エマが30歳になった年の終わり、なんと北の地より数人の兵士が帰ってきた。
それは訓練が休みの日の朝だったが、基地内は大騒ぎだ。
なにせ戦が終わって2年も経つのだから、驚くのも当然だろう。
「ちょちょちょっ!ちょっとエマ!!!起きて!!」
まだすっかり眠っているエマをこれでもかと揺らしまくり、ステラが大声を出す。
「んん…。」
寝返りを打ってまだ寝ようとするエマに、今度はハッキリと言った。
「北から兵士が戻って来たの!!!!」
それを聞くとエマのまぶたはバチリとひらき、ビックリ箱のように上体が飛び起きた。
「グレイも?!」
「まだ分からないの。…でも!なにか情報は得られるかもしれないよ!行こう!」
エマにしては珍しく取り乱し、大急ぎで着替えを終え、髪もボサボサのまま部屋を飛び出した。
東棟を出て、基地の中央にある主要人会議室へ走る。
ここからでも、その周囲に多くの兵士たちが集まっているのが分かった。
わらわらと人ごみをかき分けるが、戻って来た兵士らしい姿はなかった。
まわりの人間が言うには、今はこの会議室の中で帰還の報告がなされているようだ。
「まぁどっちにしても、明日の朝礼で発表されるだろう」
やがてこの騒ぎに飽きた者が去り始めるが、それでも数十人は待ち続けていた。
それからしばらくして、やっと会議室の扉が開いた。
立ち続けていたエマは棒のようになった足をなんとか一歩前へ踏み出した。
大きなケガを負った様子もなく、1人…また1人と兵士が出てくる。
周囲にいた者たちがワァ!と歓声をあげ、抱き着いたり、おかえりと言葉を投げかけている。
「…。」
4人目が出てくると、次の兵士はもういないように間があいた。
「エマ…」
心配そうにステラが背中をさする。