神の口笛
第1章 1
性交渉も、慰安婦も、どんなものかだいたいは知っている。
「ただ、よく分からないのは…」
「え?なに、エマ?」
今日もステラは山盛りの食事をたいらげる。
「性欲って、どんなかんじのもの?」
「性欲ぅ?…うーん。よく言うのは、ムラムラってやつだね」
「ムラムラ?」
「そう。SEXしたいなーって思うときの感覚を、ムラムラって言ったりする。まぁ、あんまり綺麗な言葉じゃないけど」
「ふぅん…。全然分からないや。」
「言葉じゃ分かんないかっ。そうだなぁ…ドキドキしたり、息が上がってハァハァしたり、あそこがきゅんとしたりするかな」
「あそこがきゅんと?」
「濡れてきたりね。男は硬く………って、これはまだエマには早いか。」
「あそこがきゅんと濡れて硬く…????」
「いや、いいの。一旦忘れて。」
「…。男はムラムラしたら慰安婦のところに行ってSEXする?」
「まあ、簡単に言えばそうね。」
「男は毎日ムラムラする?」
「そういう人もいるかもね。男でも女でも、人それぞれだよ。」
「ステラは?」
「なによーっ。そんなの言うの恥ずかしい。」
「そうなのか…」
「まぁ週に1~2回、SEXしたいなーって自然に思うのよ。」
「言うんだ。」
「エマが聞いたんでしょっ!」
やっぱりいまいち分からなかった。
思い出せるのは、グレイに素肌を触られたときに動悸がしたこと。
あれはムラムラ?
動悸と何が違うのだろう?
「うーーーーん…」
「ははは!エマ、思春期って感じね。性に興味津々」
「うん、興味はある」
「SEXしてみたい?」
「…。」
黙って考え込んでいると、「おいおい」と声がかかった。
おなじ東ブロックのルイ。
グレイと同い年で、所属も同じ特攻騎馬隊だ。
筋肉質な身体と、さらさらの金髪に甘いフェイスというギャップを持ち人気がある男兵士の一人。