神の口笛
第2章 2
これまでも、この項目の”はい”に〇がついたことはなかった。
「ない。」
「本当ね?」
「うん。」
「分かった。それじゃ検査も無し、…っと。」
「検査ってどんな事するの?」
「妊娠検査も一応するのよ?あとは性病と癌。」
「へぇ…。」
「そんなこと、今まで聞いたことないのに。なにかあった?」
「なにも…」
「さすがのエマでも、21になれば性に興味が出てきたかしら?うふふ」
「うぅん…。」
「誰かになにか言われた?」
「ステラに、SEXとかムラムラを教わった。」
ソフィアはクスクスと笑い、それは良いわね、と言った。
「SEXやキスについては、軍学校で性教育を受けたでしょ?」
「うん。」
「どんな事するかは分かるわね?」
「なんとなく…」
「説明してみて」
「え…えっと…。口と口をつけるのがキス。…男のペニスを女のチツに挿入するのが、せ、SEX…だよね?」
たどたどしい言葉でエマは答えた。
「そう。それでどうなるの?」
「男が女のチツに精液を出して、子が出来る」
「よくできました!そのとおりよ。でも軍人の妊娠は認められていないから、エマたちは避妊薬を飲んでる。」
「うん。」
「昔はね、愛する人とするものだったのよSEXは。今の時代は違うけどね…特にここでは。」
「ふぅん…」
「ムラムラはどんなふうな事か分かる?」
「分からない。」
「性欲は誰にでもあるものよ。男も女も、何歳でも。恥ずかしい事じゃない。エマもそのうちきっと分かるわ」
「本当?」
「ええ、もちろんよ。女の欲望は男に癒してもらうの!でもよく覚えておいてね。嫌な気持ちだったり、痛かったりしたらちゃんと拒否する事。」
「うん…」
「初めてのSEXは痛みを伴うから、それでも結ばれたい!って人をちゃんと選ぶのよ。せっかくヴァージンなんだから」
すべてをよく理解できたわけではないが、ソフィアとの話は興味深いものだった。