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神の口笛

第3章 3


「なんでだろうな。俺にも分からない。」

「ふぅん…」

「お前が気にすることじゃない。」

「ここはグレイが、私だけを抱っこして眠る場所…がいい。」

どこかおかしな文法が愛おしく、エマの独占欲が自分へ向いていると思うとグレイはたまらなくなった。

理性が弾き飛んでいってしまいそうだ…――。


「もちろんそうだ。」

それを聞くとエマはグレイの胸元に顔を押し当て、味わうように大きく息を吸った。

すぐに息が吐きだされ、胸が一気に熱くなる。

グレイは思わずエマの腰を抱いた。

「エマ……」

「ぅん……」

言葉は要らなかった。

この広い基地の中、2人は互いの熱だけを感じていた。


エマはこのまま肌が癒着していって、ひとつになれたらいいのにと思った。

グレイの中に生きていたい…――。





「ね…」

「なんだ?」

「また、この前の…してほしい。」

「この前の?」

グレイが問うと、エマは体を離して仰向けになった。


「お腹をさするの」

「ああ。」

「今日は痛くしないで。さするだけがいい…。」

言いながら、白装束をめくって素肌を出すエマに、グレイは内心ぎょっとした。

しかし動揺を見せぬよう答えた。

「分かった。」


腹に手を乗せると、ほんの一瞬エマの肌が緊張するのが分かった。

へそからみぞおちへ、ゆっくり手のひらを滑らせる。

エマは目を閉じ、片手はグレイの服を小さく掴んでいた。



――やっぱり動悸がするし、息も上がっている気がする。

なのにすごく気持ちが良い…。

お酒のせいか、前回より体が火照る。

グレイの手の摩擦が起こるたび、ジンジンと両脚が痺れるようだ。


「ん…?葡萄酒をこぼしたのか?」

グレイはそう言いながら、エマの白装束についた紫色のシミに触れた。

「ひゃんっ…」

その指先は乳房の先をかすめ、エマはとっさに声を漏らした。

グレイはハッとした。

そんなつもりはなかったとはいえ…。


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