神の口笛
第4章 4
「エマ!私たちも水浴びしよう。あぁ、お腹すいたなぁ…」
力なく背を曲げて歩くステラと共に、湯浴み場へ向かう。
脱衣所で服を脱いでいるとビアンカが湯浴みを終えて出てきた。
鍛え上げられた肉体はしなやかで、小ぶりな胸も尻も筋肉のように見える。
エマは自分の尻に触れ、やっぱり全然違う…と少し落ち込んだ。
「なにしてんの?お尻なんて触って」
笑いながらステラが問う。
「…私の尻って大きい?太って見えるか気になる」
「それ私に言う?!あり得ないんだけど?」
背も高く、肩幅も広く、乳も尻も大きくて立派。すべてが大きいステラは怒ったように言った。
「ステラはかっこいいから良いんだ。」
「ぷっ…何それ。全然分かんない」
ざぶん、と湖へ浸かる。
普段の湯浴みのようなお湯ではないが、少し生ぬるいくらいの水が疲れた筋肉を癒す。
その頃、外では特設の女風呂をのぞく男兵士が数人あった。
「うひゃ~、たまらん。抱きてぇ!」
「お前どれがいい?」
「絶対あれ!」
「確かに良いなァ。器量よし、乳がある上…小柄だ。アレの具合もたまらんだろうなァ!」
「おい、ありゃあグレイさんの妹だぞ。まずいって」
男はそう言いながらも面白おかしそうだ。
「そうそう。しかもこないだマルコスさんの事があったばかりだろ?」
「あぁ、そうだったな。ヤッたのかな?」
「そりゃ、ヤッただろうな。くぅ~っ、うらやましいぜ」
「お前も拷問されたいようだな。」
群がるようにして女風呂をのぞく男兵士の後ろで、低い声が轟く。
男たちが恐怖で顔を引きつらせながら振り向くと、凍てつく目をしたグレイが立っていた。
「いえっ!!!とんでもありません!!ほんの冗談です!!」
「そ、そうですっ!本気じゃあございません!!」
グレイは、背筋を反らせて必死に弁解する中の1人に向かって歩く。