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神の口笛

第6章 6



グレイとオリバーが星を眺めながら談笑していた。

「今頃、エマはテオヌだったね?」

「そうだ。」

「さすが、しっかり把握してらっしゃる。」

ふふふ、とオリバーが微笑んだ。

「変な言い方をするなよ。」

グレイも少し笑った。


オリバーはグレイよりも2歳年上だが、同じ孤児院で育ってきた家族同然の人間だ。

エマと3人、軍に入るまでは毎日同じ屋根の下で眠っていた。


「それにしても、エマが性に興味を持つとはね。…いや、自然な事なんだけどね。本来なら、遅い方だもんなぁ。」

「ん…。性教育は難しい。兄としての役目と…――」

「男としての欲望?」

「そういうわけじゃ…。」

「はは、素直じゃないなぁグレイは。…エマは普通の女の子だ。たしかに幼い頃から一緒に育ったけど、実際、兄妹じゃないんだよ?」

「…分かってる。」

「僕だったら、迷わず抱いちゃう。」

「…おいっ!」

「あはは。グレイの立場だったら、ってことだよ。」

「俺の立場?」

「うん。エマを愛してるだろ?昔から。」

「そりゃあ、まあ…」

「兄として?」

そういう意味ではオリバーだって同じだった。


「ああ。」

「でもそんなこと言いながら、愛撫はしたんでしょ」

「それはエマが苦しそうで――」

「女性にとってオーガズムってのは良い事づくめなんだ。だから悪い事じゃないけど…」

「……けど、なんだ?」

「知りたい?」

「早く言え。」

「ふふふ。…あのね、ペニスの挿入を伴わないオーガズムは、実は女性の欲望を抑えられなくする麻薬でもあるんだ。」

「つまり?」


「体質にもよるけど、毎日のように性欲が搔き立てられてオーガズムを欲する。SEXでの脳の満足度と、愛撫だけで得たオーガズムの満足度と、同じように見えるけど……実際には、効果の持続時間が全然違うと言われてるよ。」

「…そうなのか。」

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