神の口笛
第6章 6
…
翌日、乗馬訓練の開始の挨拶ではビアンカが気合いの入った敬礼をかけた。
順番に馬に乗り、障害物をよけながら場内を一周したら、交代だ。
エマの番が来た。
おそるおそる馬の表情をうかがい、背に飛び乗る。
足先で叩くと、馬はゆっくりと前に進み、やがて走り出す。
なんだか今日は調子が良いかも…。
どうしてだろう?
馬がおとなしい性格なのか、エマ自身が乗馬に慣れたのか、分からないが、すんなりと障害物を避けて軽やかに走ることが出来る。
「すごいよ、すごい…っ」
揺られながらも、エマは声に出して言った。
ゴール地点ではグレイが見ていて、エマが馬を降りると乗馬訓練では初めての笑顔を送った。
「よくできていたな。」
「すごい。ひとつになったみたいだった。」
「いい感じだ。その感覚を忘れるなよ。」
「うんっ!」
ほとんどスキップのような足取りでステラの元に戻る途中、ビアンカに足をひっかけられた。
持ち前の瞬発力で転倒はまぬがれたが、良い気分が台無しだ。
これまでビアンカに対して嫌悪や妬みの感情を持たなかったエマだが、戦の時に負傷した傷を踏みつけられてからはそうもいかなかった。
”きらいだ”という感情を丸ごと表情に出し、キッとビアンカを睨みつける。
なぜか勝ち誇ったようにあざ笑うビアンカに苛立ち、砂を蹴った。
「私のなにが気に入らない?」
エマには本当に検討がつかない。
それなのにいつも目の敵にされ、陰湿な嫌がらせを受ける。
こんな日々は御免だ。今ここでハッキリさせてやる。
「べ~つに?ただ気に入らないのよ、あんたのすべてが!」
生きていれば、理不尽に嫌われる事だって時にはあるだろう。
でも嫌がらせがある限り、ああそうですかと許すわけにはいかない。
「もう構わないでほしい。私はあんたに興味ない。」
「はあ?私だってあんたなんか、どうでもいい!」
「足が速くて乗馬もうまくて…かっこよかったのに、ビアンカは意地悪だ。見損なった。もう目標にもしたくない。」
「なんですって?!」
翌日、乗馬訓練の開始の挨拶ではビアンカが気合いの入った敬礼をかけた。
順番に馬に乗り、障害物をよけながら場内を一周したら、交代だ。
エマの番が来た。
おそるおそる馬の表情をうかがい、背に飛び乗る。
足先で叩くと、馬はゆっくりと前に進み、やがて走り出す。
なんだか今日は調子が良いかも…。
どうしてだろう?
馬がおとなしい性格なのか、エマ自身が乗馬に慣れたのか、分からないが、すんなりと障害物を避けて軽やかに走ることが出来る。
「すごいよ、すごい…っ」
揺られながらも、エマは声に出して言った。
ゴール地点ではグレイが見ていて、エマが馬を降りると乗馬訓練では初めての笑顔を送った。
「よくできていたな。」
「すごい。ひとつになったみたいだった。」
「いい感じだ。その感覚を忘れるなよ。」
「うんっ!」
ほとんどスキップのような足取りでステラの元に戻る途中、ビアンカに足をひっかけられた。
持ち前の瞬発力で転倒はまぬがれたが、良い気分が台無しだ。
これまでビアンカに対して嫌悪や妬みの感情を持たなかったエマだが、戦の時に負傷した傷を踏みつけられてからはそうもいかなかった。
”きらいだ”という感情を丸ごと表情に出し、キッとビアンカを睨みつける。
なぜか勝ち誇ったようにあざ笑うビアンカに苛立ち、砂を蹴った。
「私のなにが気に入らない?」
エマには本当に検討がつかない。
それなのにいつも目の敵にされ、陰湿な嫌がらせを受ける。
こんな日々は御免だ。今ここでハッキリさせてやる。
「べ~つに?ただ気に入らないのよ、あんたのすべてが!」
生きていれば、理不尽に嫌われる事だって時にはあるだろう。
でも嫌がらせがある限り、ああそうですかと許すわけにはいかない。
「もう構わないでほしい。私はあんたに興味ない。」
「はあ?私だってあんたなんか、どうでもいい!」
「足が速くて乗馬もうまくて…かっこよかったのに、ビアンカは意地悪だ。見損なった。もう目標にもしたくない。」
「なんですって?!」