神の口笛
第7章 7
エマが背中に乗り、肩や腰をぎゅうぎゅうと揉む。
「どうすればいいか分からない…」
「それでいい。気持ちいいよ。」
「そう?」
「ああ。」
たくましく鍛え上げられた背中の筋肉の間を、エマの細い指が滑っていく。
「グレイの背中は硬い。背中なんてどうやって鍛える?」
「はは。馬に乗っていれば自然と筋肉がつく」
「ふぅん…」
指が疲れてきたエマに、グレイは「もういい」と言った。
ふぅ…っと一息吐いてから、べったりと休むようにグレイの背中へ密着した。
「グレイ、あったかい」
シャツ越しの乳房の感触が、グレイの背中にじんわりと広がる。
「寒いか?」
グレイは暖炉に薪をくべようと考えた。
「ううん。くっついてたいだけ。」
「…そうか。」
しばらくそうしていた。
エマはいつものように、グレイにまとう空気をひとつ残らず吸い込んだ。
大きな背中に全部を委ねる。
「重い?」
「重くない。…けど、そろそろ顔を見せてくれ」
グレイがくるりと仰向けになった。
今度は厚い胸板が目の前に現れ、一度抱きついた後でエマは自分からグレイにキスをした。
唇にそっと触れるだけの、ウブなキスだった。
「グレイはしたくない…?」
エマはいつも自分からキスをねだる事に、少し寂しさのようなものを感じて言った。
すると唐突にシャツを脱がされ、期待で息が上がった…
「あ…っ」
下から乳房を持ち上げられ、先端の突起を指先でくりくりと愛撫される。
「ん…グレ…イ…っあぁ…っ」
「したくないわけないだろう?」
熱のこもった視線をエマにぶつけ、滅多に聞けない優しい口調でグレイはささやいた。
「ひゃぁんっ…!あっ…んあぁっ…」
下から、とめどない快感が与えられる。
「ほら…キスしてくれ。」
両手で乳房を焦らしながらグレイが言った。