神の口笛
第8章 8
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「デワトワ人は小柄が多いし、アレの締まりがたまらなくイイんだよなァ」
食堂には女兵士もいるのに、スピリルの兵士は下品なことを堂々と言う。
彼らがここに来てからというもの、好き放題言ったりやったりしている日が続いている。
エマやステラのように嫌悪感を抱く女兵士もいたが、こびを売り、SEXをし、玉の輿に乗ろうともくろむ者もいた。
なにせスピリルは豊か。豊富な資源にも恵まれた、いわば先進国だ。無理もない。
毎日彼らの厭らしい目つきに耐えるのはストレスだったが、協定を結び、しかも立場の弱い側としてはガルダン基地の上層部も目を瞑ることが多い。
ただ、”同意のない性交渉は禁忌”という点だけはスピリルの男たちも守っているようだった。
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「もうすぐ葉の季節だけど、大祭りはどうするんだろう」
この夜、エマはグレイの部屋を訪れていた。
「どうだろうな…。だが今までに数日延期となったことはあっても、中止になった事は無い。きっと大丈夫だ。」
ガルダン基地には実質的な被害がないとはいえ、もう1ヶ月以上も続いている世界戦争。
いつまで続くのか、もしかしたらもう大祭りが出来る日は来ないのではないか…どうしてもそんな不安がよぎってしまう。
「早く、戦が終わってほしい…。」
「そうだな。でも今は…」
グレイはエマに薄手の布団をかけながら言った。
「今は、こうして2人静かに眠れる夜に感謝しよう。」
大きな背中に手をまわし、一度だけ優しいキスを交わすとエマは眠りについた。
…
結局、ガルダン基地への攻撃は一度もない事から葉の大祭りは予定通り行うと決定された。
さすがに葡萄酒やチーズは普段よりも少ないが、束の間の祭りを皆喜んだ。
普段の大祭りと違う点が、もうひとつあった。
今回はスピリル王国の兵士たちもいるという事だ。
特にいさかいもなく過ごしている両国の兵士たちは、久しぶりの酒に上機嫌で何度も乾杯した。