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雨の降る夜は傍にいて…

第2章 春雷

 12 7年前…

「いらっしゃい、ゆり姉ちゃん…」

「啓ちゃんこんばんは」

 俺は7年前、いつしか、毎週水曜日の看護師である母親の夜勤の夜が楽しみになっていた。
 それは母親の夜勤の留守を狙って、兄貴、ただしの彼女であるゆり姉ちゃんが来宅するからであったのだ。

 楽しみには二つの理由があった。
 一つは、可愛く、明るいゆり姉ちゃんが色々と俺に気を掛けてくれてしばらく話し相手になってくれるから。
 男二人兄弟の俺には堪らなく嬉しい事であった。

 そしてもう一つの理由…

 それは俺の相手を30分程してくれた後に二人で兄貴の部屋に入り、どうやらエッチな事をしているのを知ったからであったのだ。
 初めの頃はそんな事は知らなかったし、まだ10歳である、想像すらできなかった。
 だが、ゆり姉ちゃんが通うようになって何回目かにクローゼットの方から、隣の兄貴の部屋の二人の声が聞こえてきたのである。
 隣の部屋とのクローゼットの仕切りは薄い、そから二人の喘ぎ声が聞こえてきていたのだ。

 いくら10歳でもオスの本能なのであろうか、その声がエッチな喘ぎ声だとは直ぐに気づいたのである。
 そして偶然なのだが、ゆり姉ちゃんはどうやら浴室でカラダを軽く流している事にも気づいてしまった。
 だから二人が部屋に入ると同時に俺もクローゼットに入り込み、壁に耳を当て、必死に盗み聞きをしたモノであったのだ。
 そしてゆり姉ちゃんが浴室に入ればごっそりと覗きにいく。
 そんな、その刺激により、俺は早々と精通を体験し、性への少し早めの目覚めをしてしまったのである。

 だから俺の精通、性の目覚めの対象は、この目の前にいる、ゆり姉ちゃん、なのだ…

 兄貴が突然の交通事故で亡くなるまでの約一年間、俺の精通の自慰行為の対象はこのゆり姉ちゃんであったのである。

 そして幼いなりの初恋の相手も、ゆり姉ちゃんであった…

 ゆり姉ちゃん…

 そしてそんな存在のゆり姉ちゃんが、高校の体育教師として7年振りに目の前に突然現れ、そして今日、この保健室で再会をしたのである。

 この保健室での再会は、俺の作戦なのであった…




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