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雨の降る夜は傍にいて…

第2章 春雷

 56 心の中…

「あ、あんっ、け、啓ちゃんっ…」
 ゆり姉ちゃんはそう喘ぎ、両手で肩周りを掴み、両脚を腰周りに絡めて、完全に俺に身を預け、快感の喘ぎ声を上げていた。

「あっ、はっ、はっ…」

 ギシッ、ギシッ、ギシッ…

「あんっ、あっ、あっ、あんっ…」

 俺の息遣い…

 ベッドの軋み…

 ゆり姉ちゃんの喘ぎ…
 これらが三重奏を奏で、俺の心を激しく昂ぶらせてきていた。
 ゆり姉ちゃんのアソコがジンジンと俺のチンポを締め付けてくる。
 そして夢中になって腰を打ち付けていく毎に、ゆり姉ちゃんの喘ぎが漏れていく。

「あっ、はっ、はっ、はっ…」

 ギシッ、ギシッ、ギシッ…



「あんっ、っく、け、啓ちゃん…」

「ゆ、ゆり姉ちゃん…」

 俺は快感に歪む彼女の顔を見た瞬間に、奥から射精感がジンジンと湧いてくるのを自覚してきたのだ。

「あっ、う、ううっ」
 その射精感は瞬く間に昂ぶってくる。

「あ、あん、も、もう、なの…」
 俺の昂ぶりを感じたのか、ゆり姉ちゃんが、喘ぎながらも訊いてきた。

「あ、あ、う、うん…」
 それが精一杯であった。

「あ、んん、いいわ、いいよ、そのまま…」

「えっ、あっ…」
 俺は驚いて、必死に我慢しながらゆり姉ちゃんを見る。

「ん、い、いいよ、中で、あ、出して…」
 そう言ってくれたのと同時であった、俺は我慢の限界を超えてしまったのだ。

 まるでそれは、蛇口の先が壊れた水道のようであった…

「あっ、うっ、っくっ…」

 気持ちいいのか、痺れているのか、はたまたオシッコが漏れてしまったのか…

 激しい快感が亀頭全体を覆い、痺れ、ゆり姉ちゃんの中で蕩けてしまうような快感であった。

 ああ、ゆり姉ちゃん…

 あ、兄貴っ…

 そしてなぜか、心の中で、ゆり姉ちゃんと兄貴の二人の名前を叫んでしまったのだ。

 あ、これは…

 そう、これは、初めて精通し、クローゼットの中で、ゆり姉ちゃんと兄貴の二人の喘ぎ声を聞きながら初めてうろ覚えの自慰行為をし、射精をし、その快感に震えながら、心の中で叫んだ声と同じなのであった。

 そうか…

 これか…

 俺の中での兄貴へのコンプレックスはこれだったのか…

 そう思った、理解できた瞬間に、心がスーっと軽くなっていくのを感じ、そして射精感の快感に脱力していく。



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